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updated date : 2024/02/25

悪魔祓い 後編

それに続いて俺もAさんの後を追って廊下へと出る。 しかし目の前に広がる光景を見た俺は思わず絶句して棒立ちになる。 なんだよ・・・これは? っていうか、此処は何処なんだよ?   そう口にした俺を一瞥しAさんは う~ん、大丈夫です・・・たぶん・・・・。 えっと、きっとこっちで良いはず・・・・うん、大丈夫だな。 進みますよ・・・追いてきてくださいね。   そう言ってAさんはい...
updated date : 2024/02/25

悪魔祓い 前編

これは今から5年ほど前の話になる。   日本にもバチカン認定のエクソシストがいるかどうかは俺には分からない。 ただそれなりの規模でキリスト教関係の新興宗教や宗派が日本にも広がっているのだから間違いなくこの日本でも悪魔祓いという行為は行われているのだと思っている。 悪魔祓いという行為自体は否定はしない。 しかし悪魔にとり憑かれ逃げ場の無くなった方からの詐欺まがいのお金儲けのツールとして...
updated date : 2024/02/23

公園に蠢くモノ

これは兵庫県に住む男性から寄せられた話。 彼はカラオケ関係の会社で営業をしている。 営業といっても得意様ともなれば夜でも平気で呼び出されクレーム対応もさせられる。 いや、カラオケ関係の会社というのは昼間よりも夜の方が忙しいのだ。 彼の会社にも営業の他にカラオケ機器のメンテナンスを行う部門も存在しているがカラオケが主に使用されるのは飲み屋さんでありその営業時間は夜という事になる。 メンテナ...
updated date : 2024/01/18

最後の酒(創作怪談)

「いつから狂い始めたんだ・・・」 つい愚痴がこぼれる。 歯車なんて何処か1か所がおかしくなっただけで全ての動きが狂ってくる。 そして1つの歯車が動きを停止するという事は即座に全てが動かなくなるという事だ。 そんな事にもずっと気付けないで生きてきた。 別に他人より幸せな人生だとは思ってはいなかったが、それでもそんな日常がずっと続いていくんだと当たり前のように思っていた。 時間をかけて作り...
updated date : 2023/10/29

検問

神田さんは30代の会社員。 独身の彼は京都市内のワンルームマンションで一人暮らしをしている。 そんな彼には2か月ほど前に新しい彼女が出来たらしく充実した生活を送っているそうなのだがひとつだけ困っている事があるのだという。 それは、付き合いだした彼女が実は心霊スポットマニアだったという事。 付き合いだした初期の頃にはそんな感じは微塵も感じなかったが次第にホラー映画を一緒に観せられるようになり...
updated date : 2023/10/26

好きだった人

誰にでも初恋の経験というものがあるのではないだろうか。 気持ちを伝えられたかどうか、想いが実ったかどうか、は別にしてやはり初恋の相手というものは忘れられないもの。 鉾田さんにも中学時代に初恋の経験があった。 2年生の時に同じクラスになった女の子。 長い髪をポニーテールにした学級委員だった。 成績も良く運動も万能だったらしいが何故か部活動では図書室の管理を行う図書部に所属していた。 身長...
updated date : 2023/10/25

捨て猫

宇川さんは猫が大好きだった。 しかし家族に猫アレルギーの母がおり反対された為に猫を飼う事は出来なかった。 しかし、彼女の猫を飼いたいという願望が薄れる事は無かった。 だから中学生になった頃からずっと心に誓っていた。 大人になり1人暮らしを始めたら絶対に猫を飼おう、と。 しかし、これから書く出来事があってからはペットを飼いたいとは思えなくなってしまっただけでなく犬にも猫にも触る事すら出来な...
updated date : 2023/10/23

立ち退かない理由

これは以前よく一緒に飲んでいた男性から聞いた話。 彼の旧友に梨田さんという50代後半の男性がいる。 梨田さんは以前、大阪で商社マンとしてバリバリ働いていたが、ある事を契機に金沢市に移住してきた。 商社を辞めた理由は奥さんの病気だった。 体調を悪くして検査入院した時点で既に手が付けられない程に病状は悪化していたらしく、それでも諦めきれなかった梨田さんは国外での治療も考えたらしいがそれを止めた...
updated date : 2023/10/16

3人乗りですから

黒田さんの住む地域にはとある遊園地がある。 決して広大でもなく最新の遊具が揃っている訳でもないのだが、休日でもそれほど混雑しないという理由からその遊園地へ遊びに来るカップルや家族は多い。 そんな黒田さんもまだ子供が小さいという理由からその遊園地をよく利用しているのだという。 最新の遊具や派手な乗り物が無い代わりにその遊園地には昔懐かしい遊具が残されておりそんな懐かしさを求めてやって来る大人も...
updated date : 2023/10/15

介護

山下さんは現在60代。 大学を出てからずっと公務員として働き続け定年退職後は町会の仕事に従事している。 公務員時代にはそれほど出世もしなかったし同期と比べても決して給与は高いとは言えなかったが、それでも安定した生活をして来られたのは市民の皆さんのお陰だと感謝し何か恩返しがしたかったのだという。 そして、数年前に奥さんを病気で亡くしている彼にとって時間を有効に使えるとしたら町会の仕事以外に思い...
updated date : 2023/10/14

視線の主

篠山さんは浄化槽のメンテナンスをする仕事に従事している。 勤続10年以上との事で既に多くの部下もおりベテランと言われる域に達している。 彼が行うのはビルの管理会社からの依頼で浄化槽の点検をしたり修理をしたりという内容になる。 老朽化した雑居ビルからの依頼も多くそんな場合には殆どが深夜午前0時を回ってからの仕事になる。 そして、夜を徹して浄化槽を修理して翌朝の始業時間に間に合わせる様に全ての...
updated date : 2023/10/13

3つのボタン

これは刑務官として働いている大学時代の友人から聞いた話になる。 日本には死刑制度がある。 それについては賛否両論、色んな意見があるのは当然だし死刑制度が残っているという事実だけで先進国として野蛮だとする意見があるのも承知している。 だから現時点で俺はあくまで客観的な立場での意見しか持ってはいない。 つまり死刑は必要かもしれないがその為に国際的にマイナスなイメージとして作用するのであれば死刑...
updated date : 2023/10/12

指が見つからない。

坂尻さんは生まれた時から電車が通る音を聞きながら育ってきた。 実家が線路沿いにあり遮断機のある踏切も近いのだ。 電車が通るたびにガタンガタンという騒音に悩まされるだけでなく家そのものもかなりの強さでガタガタと音を立てて揺れる。 まあその点に関してはもう慣れてしまい特に気にもならないそうなのだがいつまで経っても慣れない事もある。 彼女の実家近くの踏切は地元でも有名な飛び込み自殺の名所になって...
updated date : 2023/09/08

酷暑

木場さんは幼い頃から他の者には視えていないモノが視えていたそうだ。 それに最初に気付いたのは幼稚園に通っていた頃。 クラスの中に明らかに服装の違う子供たちが何人も混ざっていたのだという。 しかし、それらの姿は明らかに友達や先生たちには視えていなかった。 最初はそれを怖く感じてしまい出来るだけ近づかないようにしていたらしいのだが、ある時、教室の中で走り回っていた際、それらの1人の男の事ぶつか...
updated date : 2023/09/05

憑依されるという事

憑依という言葉の意味を調べてみると ①  頼りにする事。よりどころにする事。 ②  霊にのり移られる事。 という二つの意味があるそうだ。 ただし一般的に使われている憑依という言葉は霊的な意味である場合が多いのだろう。 古来より日本では神憑き、狐憑きという言葉があるし西洋では悪魔憑きという言葉もある。 神や狐、悪魔が同じモノであるとは思わないが、要は自分の中に何かが入ってきて脳を支配...
updated date : 2023/09/04

生け贄の部屋

看護師や医師をしている知人と怪異について話すと必ず帰ってくるのが 病院ほど大勢の人が亡くなっていく場所も無いんだから、怪異なんて日常茶飯事。 もう慣れてしまったし生きている患者さんを救う為に忙しいからいちいち怖がっている暇なんて無いよ・・・。 そんな感じの言葉だ。 確かに個人病院は別として入院施設や手術室を備えた大きな総合病院になれば、回復し退院していく人も多いだろうが、逆にそのまま命を落...
updated date : 2023/09/03

死霊婚

和田さんには高校生時代からずっと付き合っていた彼女がいた。 寡黙なタイプの和田さんといつでも明るいムードメーカーだった彼女がどうしてお互いに惹かれ合い、そして付き合い始めたのかは分からなかった。 それでも気が付けばとてもお似合いのカップルに見えてきて周りにいる全員が2人の関係がずっと続いて欲しいと願ってしまう様な不思議な雰囲気を持っていた様だ。 同じ大学に進み就職先は違ったが、それでも二人の...
updated date : 2023/09/02

後悔

自殺という行為はそれまでどれだけ良い事をして生きてきたとしても全てを帳消しにするどころか理由の如何に問わず、最低最悪の大罪人としてこの世やあの世の摂理から除外され孤独の中で永遠に苦しまなければならず決して許される事は無い。 勿論、これはこの世、あの世に関係無く存在し絶対的なルールである摂理に基づいた解釈になるのだが・・・・。 だから自殺した者の霊は悪霊となる場合が多い。 もっとも寂しいから仲...
updated date : 2023/08/07

結界

結界を張る。 それは悪霊に対してとても有効な手段になる。 例えば強大な呪いや怨霊に対しても結界を張る事で結界内への侵入を防ぎ安全を確保することが出来る。 現在の東京や京都などはそういう面ではしっかりとした結界が張られていると言われているが、それでは東京や京都では怪異や幽霊が現れる事は一切無いのか? 答えは否である。 結界というのは視えない壁の様なものであり霊的にだけ作用するものだ。 そ...
updated date : 2023/08/06

残留思念

幽霊にはこの世に未練や怨みを残したり自縛され動けなくなった為にこの世に残ったモノ達がいる。 それはそれでかなりの数なのだが、霊感がある人が存在を感じたり、実際に目撃してしまう霊の正体は生きている時、もしくは死ぬ瞬間に残した残留思念なのだと聞いた事がある。 Aさんと出会った際、 幽霊なんて掃いて捨てるほど何処にでも溢れてるでしょうが? と言われて行動を共にしていると確かに霊は何処にでもいた。 ...