fc2ブログ
                
updated date : 2022/05/12

信じる力

プラシーボ効果というものがある。

例えば、医者に処方されて飲んでいるのが何の変哲もない普通の水だとしても

それが特効薬だと聞かされ、医者の言葉を信じて飲むと病がみるみる治癒していく

そうである。

またプラシーボ効果とは違うが、以前かなり厳しい病状の方や不治の病の方が

毎日笑って過ごす様にしていると病状が奇跡的に回復したという話も

耳にした事がある。

要は気の持ちよう・・・。

人というのは気持ち次第でどれだけでも秘めた力を呼び覚ませるのかもしれない。

元来、人間には自然治癒という能力が備わっている。

そして、その自然治癒力を少し手助けするだけで良いのかもしれない。

ただの水を特効薬だと騙されて飲んだとしても、それが人間の自然治癒力を

引き上げさえすれば病は治癒に向かうのだろう。

しかし、逆に言えば、どんな特効薬・妙薬であったとしても、半信半疑で使用

していれば、その効果は激減する。

そして、これと同じような事が占いにも当てはまる。

今日はとても運が良い1日になります・・・という占いを見ればどんな嫌な事も

小さな喜びにかき消され、トータルで良い1日になるのかもしれないし、

今日は最悪の1日になります・・・という占いを見てしまうとその日1

何もやる気が起こらないかもしれないし、何より憂鬱な気持ちでは幸運も

逃げて行ってしまう。

そういう意味で俺は占いを信じないし、見る事すらしない。

思い込みが激しい性格だから。

ただ人間はそもそもとても強い能力を持っているのだと思っている。

それは精神・肉体・そして霊的にも・・・。

それを上手く引き出してあげればとんでもない能力を発揮するのだと思う。

今夜書くのは、そんな話になる。

ある時、俺の知り合いが霊にとり憑かれた。

心霊スポットを徘徊しての結果だからまさに自業自得なのだが。

しかし、その時、彼に憑いた霊は紛れも無い本物であり、とても危険な悪霊にしか

思えなかった。

いや、もしかしたら霊的なモノではなかったのかもしれない。

俺が見た彼の姿や行為はまさに映画で見たエクソシストさながらのおぞましい

ものだったのだから。

勿論、彼も心霊スポットを徘徊するくらいだから、万が一のことを考えて

懇意にしてもらっているお寺や霊能者がいた。

しかし、その方たちが除霊しようとしても全く効果が無く、挙句の果てには

暴力を振るわれたり噛みつかれたりと散々な目に遭ってお手上げ状態と

なってしまう。

そして、俺にも相談が来て俺はいつものようにAさんに電話をかけた。

しかし、その時、Aさんは本当に忙しかったらしく事情を話しても全く

相手にしてもらえなかった。

そして、運悪く、姫ちゃんにも富山の住職にも連絡がつかなかった。

こうなってしまうと俺にはもう打つ手は無かった。

それでも何とか助けてあげられないものか、と思考を巡らせていると突然

Aさんから電話がかかってきた。

そして、今からマンションに来てください・・・・

とだけ言って電話が切れた。

俺はすぐにAさんの部屋に向かった。

そして、玄関のチャイムを鳴らすと疲れ切った顔のAさんが顔を出した。

どうやら忙しいというのは本当の様で、仕事を家に持ち帰ってテンパっている

のがすぐに分かった。

なんか大変そうだね?

来いっていうから来たけど、こんな状態じゃ無理っぽいね?

と聞くとAさんは冷たい口調で

心霊スポットに行ってとり憑かれた奴なんて放っとけばいいじゃないですか?

でも、私は優しいから、ちゃんと秘密兵器を用意しました。

そう言ってAさんは茶色の数珠を俺に差し出した。

?

Aさんが数珠なんて珍しいね?

初めて見たけど・・・・。

と返すと、

ええ、これは秘密兵器ですから滅多に出してきません・・・。

効果が凄すぎてどんな悪霊でも悪魔でも一発です・・・。

Kさんがその友達を助けたいっていうからわざわざこの数珠を用意しました。

忙しい最中に・・・・。

という事で、これはファミレスのごはん5回分とスイーツ10000円分と交換です。

どうしますか?

と聞いてくる。

勿論、知り合いの運命が掛かっているのだから俺にはそれに即答で同意するしか

なかったのだが。

Aさんから帰り際にしつこいくらいに念を押された。

勿論、俺が奢らなければいけないという約束もそうなのだが、その知り合いに

数珠を渡す時には、以下に凄い数珠なのかをしっかりと伝える様に・・・。

そして、用が済んだらその数珠はずくにAさんに返却しなければいけないという

事を約束させられて俺はその場を離れた。

その知り合いは、どうやら何かに乗っ取られている状態と、そうでない状態を

繰り返していた。

勿論、俺は意思疎通が図れる状態の彼にその数珠を手渡して説明した。

どれほど凄い数珠なのか・・・を。

ただ、彼は既にAさんに凄さを認知していた。

あのAさんが自分の為に凄い数珠を用意してくれたという事だけでその場で

涙ぐんでいた。

そして、それから1時間もしないうちに彼の体から悪いモノがすっかり離れて

くれたのは、彼の顔や行動、そして部屋の中の空気感から俺にもすぐに理解できた。

ただ、その数珠を持っていただけなのに・・・。

そして、俺は彼に頼まれてその数珠をAさんに返しに行った。

ああ・・・そうなるでしょうね。

この数珠の威力は絶大ですから・・・。

そう言って笑いながら数珠を片付けようとした時、俺ははっきりと目撃してしまった。

Aさんがその数珠を、見覚えのある100円ショップの袋の中に入れて片付けている

のを・・・。

Aさん?

その数珠、秘密兵器のわりにやけに軽いと思ってたらもしかして100円ショップで

売ってる数珠なんてオチは無いよね?

と聞くと、

それは企業秘密ですからお答えできませんね・・・。

でも、悪いモノはすっかり消えたのなら効果があったという事で本当に良かった

じゃないですか?

凄い効果があったんならこれは秘密兵器と呼んでも構わないでしょ?

まあ、悪霊か悪魔か知りませんけど、不安が1ミリも無い人間には勝てない

ってことです。

人間って本当はもっと強いんですから・・・。

そう言って玄関を閉じてさっさと鍵を掛けられた。

しかし、俺は100円ショップの数珠を借りる為に高額な食事をおごりスイーツまで

用意しなければいけないのか?

いや、よく考えてみればもっと奇妙な部分がある。

それはどうして100円ショップの数珠をわざわざ回収するのか?

まあ、その答えは俺にはわかってはいるが・・・。

また同じ数珠に騙されない様にしなければ・・・・。

そう心に誓った出来事だった。

そして、この話を思い出して書こうと思ったのは・・・。

100円ショップで適当に買ってきただけの数珠でもこれほどの力を

引き出してくれるのだとしたら、Aさんがせっせと手作りし気持ちを込めた

手鏡と栞にはどれだけの力があるのだろうか?と思ったからだ。

まあ全てはそれを所有している方の信じる気持ちに左右されるのかも

しれないが、もしも心からその手鏡を信じ強い心で生きていけたら

とてつもない力で支えてくれる秘密兵器になるのかもしれない。

そして、その秘密兵器は沢山の方達の元にもうすぐ届くはずなのだ。

手鏡を信じて持てばきっと・・・。

俺にはそれが楽しみで仕方ないのだ。

関連記事